Gallery 3

Gallery 3では「画像処理」で作った作品を紹介します。

変形と重ね合わせ

画像に何らかの処理を施す(いわゆる「エフェクト」をかける)ことは広く行われています。よく知られたエフェクトとしては「ぼかし」,「色の調整」,「輪郭抽出」などがあります。これらは種々の画像系ソフトや,簡単なものであればOfficeでも行うことができます。
GIMPは定評のある画像ソフトで,フリーソフトですが大変充実した内容を持っています。GIMPの画像処理機能は「フィルター」というメニュー中に多数搭載されていますが,その中に「変形」というものがあります。
下の図AはGallery 1で紹介した「セザンヌのリンゴ」です。これに,GIMPの「変形」の中にある「渦巻きと吸い込み」を施すと図Bのようになります。
GIMPでは,この変形結果の画像と元の画像を重ね合わせることができ,さらにその結果としてできる画像の各ピクセルの色を,元の2枚の画像の各ピクセルのRGB値から新たに作り出すことができます。
図Cは色に対して「加算」,図Dは「乗算」,図Eは「差の絶対値」,図Fは「Vivid light」という処理を施したものです。それぞれ,何となく納得できる結果となっていますが,「加算」,「乗算」などはそのままでは諧調範囲を超えてしまうはずですので,何らかの追加計算が行われているはずです。GIMPは出来合いのソフトなので,このような詳しい処理内容は判らず,また「Vivid lidht」のような,内容の推定をしにくい処理も含まれています。

A 元の画像
B 変形後の画像
C 重ね合わせ(加算)
D 重ね合わせ(乗算)
E 重ね合わせ(差の絶対値)
F 重ね合わせ(Vivid Light)

そこで当工房では,この「変形」と「重ね合わせ」と「色の変更」を含むルーチンを自作し,より定量的に制御できる処理を行ってみようと考えました。
それぞれ,次のような処理のことです。
・変形:与えられた画像のピクセル(i, j)を別の点(i’, j’)に移動することです。
・重ね合わせ:元の画像と変形した画像を重ね合わせた画像を作ることです。
・色の変更:重ね合わせた画像にどのような彩色をするか決めることです。
これらを具体的に行う方法についてはMethodsで述べます(準備中)。

平行移動して重ねる

変形のなかで最も簡単な処理は平行移動です。すべてのピクセル(i, j)に対して,ある一定量(a, b)だけ移動した点を新たな描画位置とします。すなわち(i’, j’)=(i+a, j+b)です。
この平行移動した画像と元の画像を重ね合わせた画像の色を
 (A) もとの色の差の絶対値とする
 (B) (A)の補色とする
という決め方で彩色したもの(*)が以下の画像です。
*実際には,(A),(B)ともに,多少中間的な色に近づけるような追加の処理をかけることが多いです。

それぞれ,元の画像,(A)の画像,(B)の画像の順に示しています。元の画像はGallery 2で紹介した「小領域法」で作画したものです。これに平行移動して重ねるという非常に簡単な処理を施しただけで,非常に印象の異なる画像が出来上がります。

元の画像
平行移動+処理(A)
平行移動+処理(B)
元の画像
平行移動+処理(A)
平行移動+処理(B)
元の画像
平行移動+処理(A)
平行移動+処理(B)

(A)は,元の色の差の絶対値なので,比較的RGB値が低い色であることが多く,平行移動しても同じ色である領域では黒となります。(B)はその補色なので明るめの色となります。
我々が色を見るとその色がどのような色であるかすぐに認識できますが,二つの色のRGB値の差がどんな色であるか,またその補色がどんな色であるかは,元の色を見ただけでは容易には想像できません。そのため,この方法で作画すると,平行移動によって画像のパターンが複雑になることに加え,色ががらりと変わること,その色が想像できない色に変わってくることが大変に面白いと感じます。

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